【技術記事】SmartSoloによる長期地震観測|電源構成と設置のポイント
SMARTSOLO | 技術記事
電源構成と設置のポイント
IGU-BD3C-5 / IGU-BD3C-5 LC
地震や微動を数週間から数か月にわたって観測する場合、地震計本体の連続稼働期間だけでなく、外部電源を含む電源構成や設置環境も事前に検討しておくことが欠かせません。
SmartSolo社の広帯域3軸地震計「IGU-BD3C-5」は、内蔵バッテリーによる連続観測に加え、外部電源を利用した長期観測にも対応可能です。国内では、外部バッテリーと組み合わせて約4か月間の観測を実現した事例もあります。
実際に観測できる期間はバッテリー容量だけでなく、測定条件や設置環境にも左右される点に注意が必要です。
本記事では、IGU-BD3C-5を用いた長期観測の構成例と、観測計画を立てる際のポイントを紹介します。
01 / OPERATING LIFE
IGU-BD3C-5はどのくらい連続観測できる?

IGU-BD3C-5は、鉛直方向と水平2方向の地震動を記録できる広帯域3軸地震計です。0.2~150 Hzの周波数帯域に対応し、地震観測や微動観測などの研究用途に利用できます。
本製品には内蔵バッテリー容量の異なる通常モデルとLCモデルがあり、それぞれの連続稼働期間は以下のとおりです。
内蔵バッテリーによる連続稼働期間
IGU-BD3C-5
連続稼働期間
30日間
測定条件:25℃/サンプリング間隔2 ms
IGU-BD3C-5 LC
連続稼働期間
17日間
測定条件:25℃/サンプリング間隔2 ms
※ユニポス掲載仕様
連続稼働期間は、温度25℃、サンプリング間隔2 msでの仕様値です。実際の稼働期間は、使用条件や環境によって異なる場合があります。
観測期間が連続稼働期間に近い場合や数か月に及ぶ場合は、電源構成まで含めて検討しておきましょう。
02 / EXTERNAL POWER
外部電源を利用した長期観測
内蔵バッテリーの連続稼働期間を超えて観測する場合は、外部電源を利用する方法があります。
IGU-BD3C-5は7~15 Vの外部電源からも給電でき、外部バッテリーを組み合わせることで長期間の観測にも対応可能です。
例えば、ユニポスで取り扱っている外部バッテリーをIGU-BD3C-5に接続した場合、目安として外部バッテリー1台あたり約90日間の稼働が見込めます。
ただし、稼働日数は測定条件や気温によって前後するため、余裕を持った電源構成を検討することが重要です。
メーカーによると、IGU-BD3C-5は外部電源と内蔵バッテリーの自動切り替えが可能です。
外部バッテリーの電力がなくなると、自動的に内蔵バッテリーへ切り替わります。外部バッテリーを交換すると、再び外部電源から給電されます。
この仕組みにより、内蔵バッテリーの残量が十分であれば、本体の電源を切らずに外部バッテリーだけを交換することも可能です。
03 / FIELD CASE
約4か月の長期観測を行った構成例
長期観測の実例として、2024年に能登半島で行われた地震調査を紹介します。
この調査では、東北大学、弘前大学、京都大学、山形大学などの研究者・学生によるチームが、余震の震源位置や地下構造の把握を目的に、奥能登地域へIGU-BD3C-5 LCを計21台設置しました。
長期観測に向けて採用されたのは、外部バッテリーを組み合わせた次の構成です。
2024年7月に設置された地震計は、当初の見込みどおり約4か月にわたって微振動を記録し、同年11月に全21台が回収されています。
これは能登半島での観測事例であり、同じバッテリーを使用した場合でも、必ず4か月間稼働するわけではありません。必要な電源構成は、観測条件や使用環境によって変わります。
設置時の写真や研究者のコメントは、以下の事例記事をご覧ください。
04 / OBSERVATION PLANNING
長期観測を計画する際のポイント
長期観測では、電源の確保に加えて、必要なデータを途切れなく取得できる環境づくりも欠かせません。
まず、24時間連続で記録する必要があるのか、特定の時間帯の観測だけで目的を満たせるのかを整理しましょう。
サンプリング間隔は、バッテリーの稼働期間だけでなく、取得するデータ量にも関わります。IGU-BD3C-5は複数のサンプリング設定と64 GB/128 GBの記録容量に対応していますが、観測期間分のデータを保存しきれるかどうかは、設定条件を踏まえて確認が必要です。
屋外に長期間設置する場合は、気温などの環境条件に加え、観測中に現地を再訪できるかどうかも確認しておきましょう。
長期観測では、移動やバッテリー交換の手間は、回数が重なれば大きな負担となります。頻繁に足を運べない場所では、現地での作業回数を抑えられる電源構成を選ぶことが重要です。
また、山間部や森林などでは、野生動物にケーブルをかじられて配線が損傷するおそれもあります。外部バッテリーを使う場合は特に、地震計本体だけでなく、電源ケーブルを含めた設置方法も検討する必要があります。
こうしたトラブルへの対策として、ユニポスでは金属製の保護コイル(スプリングアーマー)を備えたケーブルのご提案も可能です。
05 / CONSULTATION
長期観測のご相談時に教えていただきたい情報
長期観測に適した構成は、観測期間や測定条件、設置場所などによって変わります。製品や周辺機器の選定をご相談いただく際は、具体的な構成を検討するため、以下の情報を分かる範囲でお知らせください。
※右欄の内容は、ご相談時にお知らせいただく情報の例です。
すべての項目が決まっていなくても問題ありません。
「山間部に地震計を20台設置して3か月間観測したい」「観測終了まで現地へ行けない」といった情報だけでも、機器構成を考える手掛かりになります。
06 / SUMMARY
まとめ
SmartSolo IGU-BD3C-5 / LCは、内蔵バッテリーでの連続観測に加え、外部電源を組み合わせた長期観測にも対応できる地震計です。能登半島では、IGU-BD3C-5 LCと外部バッテリーの組み合わせで約4か月間の観測が行われました。
長期観測に必要な構成は、観測期間だけでなく、測定条件や記録容量、設置環境、現地での運用方法まで含めて検討することが大切です。
ユニポスでは、SmartSolo本体のほか、外部電源や接続ケーブルなどの周辺機器を含めた構成のご相談も承っています。長期観測をご検討の際は、分かる範囲でご希望の観測条件をお知らせください。
※外部電源と内蔵バッテリーの自動切替は、SmartSoloメーカーへの直接確認に基づく情報です。

