生体認証ソフトウェア6選 徹底比較!仕組みやメリット、デメリットを解説
IDやパスワードによる従来の認証方式に代わり、セキュリティの基盤の中核として普及が進む「生体認証(バイオメトリクス)」。
顔や指紋といった、なりすましが困難な身体的特徴を利用することで、高い安全性と認証の円滑化を両立します。しかし、導入には専用の装置やソフトウェアが必要となり、その種類も多岐にわたります。
本記事では、生体認証ソフトウェアの仕組みやメリット・デメリットを解説し、開発キット(SDK)から統合管理ソリューションまで網羅する、おすすめのソフトウェア6選を徹底比較します。
目次
そもそも生体認証ソフトウェアとは?

生体認証ソフトウェアとは、人間の身体的特徴(指紋・顔・静脈・虹彩など)や行動的特徴(声紋・筆跡など)をデジタルデータとして解析し、本人確認を行うためのシステムやその機能を実装するための開発キット(SDK)のことです。
物理的な「鍵」や記憶に頼る「パスワード」とは異なり、「本人そのもの」を鍵とするため、紛失や盗難に起因するリスクを抑制できます。オフィスの入退室管理から、金融機関の本人確認(eKYC)まで幅広く利用されています。
生体認証ソフトウェアの仕組み
生体認証は、事前に身体的特徴を登録し、利用時に照合する 2段階のプロセスで機能します。
重要なのは、指紋や顔の画像そのものを保存するのではなく、特徴点を数値化したテンプレートデータとして暗号化して管理する点です。認証時には、その場で取得したデータと登録済みテンプレートを照合し、AIが一致率を高速に判定します。
テンプレートデータは元の画像情報を保持しないため、万が一流出した場合でも、元の生体情報を復元することは極めて困難です。画像そのものを保管しない仕組みによって、高い安全性とプライバシー保護の両立を支えています。
生体認証ソフトウェアのメリットとデメリット
生体認証のメリットは、高度なセキュリティと利便性を同時に高められる点にあります。身体的特徴は複製が極めて困難なため「なりすまし」を防げます。
複雑なパスワードを記憶・管理する手間や、物理的なカードキーを持ち歩く必要がなくなり、紛失や盗難に伴うリスクの低減につながります。手ぶらでのスムーズな認証が可能です。
一方で、導入前に把握すべき留意点も存在します。最大のリスクは、万が一データが流出した場合にパスワードのように「変更」ができない点です。元のデータを保持しない設計が不可欠となります。
他にも、指の怪我や手荒れ、マスク着用、周囲の騒音といった体調や環境の変化により、認証精度が低下する可能性もあります。高精度な認証環境を構築するには専用のリーダーやカメラが必要になるケースが多く、初期導入コストが増加しやすい点にも留意が必要です。
生体認証ソフトウェアの主な種類
現在、ビジネスやセキュリティの現場で広く導入されている代表的な認証方式には、下記のようなものがあります。
- 顔認証
- 指紋、掌紋認証
- 静脈認証
- 音声認証
ここでは、それぞれの認証方式について解説します。
顔認証
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顔認証とは目、鼻、口の位置関係や輪郭などの特徴を分析して本人確認を行う方式です。カメラに顔を向けるだけで認証できる非接触型の認証方式のため、感染症対策としても有効で、スムーズな入退室管理などに適しています。
AI技術の進化により、斜めからの角度や眼鏡着用時でも認識精度が向上していますが、極端な逆光や暗所、マスクの形状によっては認証精度が低下する場合があります。写真や動画によるなりすましを防ぐ目的で、まばたき検知や深度測定といった生体検知(ライブネス検出)機能の実装も重要となります。
指紋、掌紋認証
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指紋、掌紋認証とは、指先の指紋や手のひらの掌紋(しょうもん)を利用する、導入実績の多い認証方式です。
PCやスマートフォンへの搭載もされており、専用センサーも比較的安価で導入しやすいため、コストが抑えられます。認証速度も高速ですが、センサーに直接触れる接触式が一般的であるため、衛生面への配慮が必要です。
指の乾燥や水濡れ、手荒れ、汚れなどが原因で認証エラーが起きやすいため、医療現場や工場など、手指の状態が変化しやすい環境での利用には運用上の工夫が求められます。
静脈認証
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静脈認証とは、指や手のひらの内部にある静脈パターンを近赤外線で透過撮影して認証する方式です。
身体の表面ではなく体内の情報を用いるため、盗撮や偽造が極めて困難であり、生体認証の中でも非常に高いセキュリティレベルを有します。その信頼性の高さから、金融機関のATMや重要施設の入退室管理で多く採用されています。
一方で、導入には専用の赤外線センサーが必要となるため、初期コストが高くなりやすい点に留意が必要です。寒さで血管が収縮しているなど、血流の状態によっては認証しづらくなる場合もあります。
音声認証
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音声認証とは声の高さ、トーン、話すスピード、アクセントなどの特徴(声紋)を分析して本人確認を行う方式です。
マイクさえあれば認証できるため、電話での本人確認やコールセンター、スマートスピーカーなどでの活用に向いています。特別な読み取り装置が不要で導入ハードルが低い反面、駅や街中などの騒音環境下では認識精度が低下しやすいという課題があります。
風邪や疲労による声質の変化で認証できなくなるリスクや、録音データによるなりすましへの対策もシステム選定時の重要な判断材料となります。
生体認証ソフトウェアの比較・選び方のポイント
生体認証ソフトウェアを導入する際、製品ごとに機能や提供形態が大きく異なるため、自社の環境や目的に最適なものを選ぶことは容易ではありません。比較検討の際に重視すべき主なポイントには、下記のようなものがあります。

- ① 専用の装置は必要か
- ② セキュリティ面の不安はないか
- ③ 外部システムとの連携範囲はどの程度か
ここでは、これら3つのポイントを解説します。
① 専用の装置は必要か
1つ目は、専用のハードウェアが必要かどうかです。これは導入コストと設置の自由度を左右する要因となります。PCやスマホ内蔵のWebカメラ等を活用する「ソフトウェア完結型」なら、追加機器が不要で初期費用の抑制につながります。
一方で、厳格な本人確認が求められる金融機関や特殊な環境下では、高精度な専用スキャナーを用いる「ハードウェア連携型」が必須となるケースもあります。自社の利用シーンにおいて、既存デバイスで十分か、専用機器への投資が必要か、費用対効果を踏まえて検討しましょう。
② セキュリティ面の不安はないか
2つ目は、なりすまし防止などのセキュリティ対策が十分かという点です。生体認証は便利ですが、写真や精巧なマスクを用いた攻撃リスクはゼロではありません。そのため、AIがまばたきや奥行きを検知して偽物を排除する「生体検知(ライブネス検出)」機能の実装は不可欠です。
信頼性の指標として、米国のNIST(国立標準技術研究所)のベンダーテスト結果も確認しましょう。客観的な評価において認証精度や速度で高評価を得ているアルゴリズム採用製品であれば、セキュリティ面の不安軽減につながります。
③ 外部システムとの連携範囲はどの程度か
3つ目は、既存システムや開発環境との連携のしやすさです。単独利用だけでなく、自社の業務アプリや入退室管理システムとスムーズに連携できるかが運用の鍵を握ります。選定時には、APIやSDKの提供有無に加え、WindowsログオンなどのSSO対応を確認しましょう。
特に自社開発を行う場合は、JavaやC++等の対応言語や、Windows・Linux・モバイル等の対応OSの幅広さが、開発工数の抑制や将来的な拡張性につながります。開発の柔軟性を確保するためにも、連携範囲を入念に確認することが重要です。
生体認証ソフトウェアおすすめ6選徹底比較
市場には多様な生体認証ソフトウェアが存在しますが、その中でも、特に高度な認証技術を持ち、開発者や企業から高く評価されている製品を厳選しました。今回ご紹介するソフトウェアは以下の通りです。
- Neurotechnology 生体認証システムSDK
- Aware NISTPack SDK
- Aware AccuScan SDK
- Aware AccuPrint SDK
- 3DiVi Face Recognition SDK & API (Face SDK)
- miniOrange
ここでは、各製品の機能的な特徴や強みについて解説します。
Neurotechnology 生体認証システムSDK
「Neurotechnology 生体認証システムSDK」とは、指紋、顔、虹彩、音声という主要な生体認証を網羅した総合開発キットです。
世界中の大規模プロジェクトや国家規模のシステムで採用されており、NIST(米国国立標準技術研究所)の評価試験でもトップクラスの精度と速度を記録しています。AI技術を用いたディープニューラルネットワークにより、マスク着用時や低品質な画像でも高精度な認識を実現します。
PCからモバイル、サーバーサイドまで幅広い環境に対応し、必要な機能のみを選択できる柔軟なライセンス体系も魅力です。開発者は要件に合わせて効率的な認証システム構築が可能です。
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Aware NISTPack SDK
「Aware NISTPack SDK」とは、生体認証データの「標準規格への準拠」に特化した開発キットです。
FBIやインターポールが採用する国際標準規格(ANSI/NIST-ITL)に基づいたデータの作成、編集、検証を支援します。認証エンジンそのものではなく、異なる認証システム間でのデータ互換性を保つための重要な基盤ツールです。
指紋画像のWSQ圧縮やJPEG 2000に対応し、高品質なデータ管理を実現します。Javaや.NETなど多様な環境での開発をサポートしており、政府機関や法執行機関へデータを提出する必要があるシステム開発において有用性の高い製品です。
Aware AccuScan SDK
「Aware AccuScan SDK」とは、紙の指紋カードをスキャナで読み取り、FBI準拠のデジタルデータへ変換することに特化したSDKです。
自動セグメンテーション機能により、スキャンしたカードから各指の指紋画像を自動で切り出し・補正します。特定のハードウェアに依存せず、TWAIN対応の一般的なフラットベッドスキャナを利用できるのが強みです。
取り込み時にリアルタイムで画像品質を評価し、不鮮明な場合は再スキャンを促す機能も実装可能。過去のアナログ資産のデジタル化や、法執行機関向けの厳格な本人確認システムの構築において効果を発揮します。
Aware AccuPrint SDK
「Aware AccuPrint SDK」とは、デジタル化された指紋データを、FBI認定の指紋カード形式へ正確に「印刷」するためのSDKです。
AccuScanとは対になる製品で、システム上で取得した指紋情報を、物理的なカードとして提出する必要がある業務(身元調査や犯罪経歴証明など)で利用可能です。FBIの画質仕様(Appendix F)に準拠した高品質な出力を制御し、氏名やIDなどのテキスト情報もフォームの正しい位置に自動配置します。
APIを通じて既存の認証システムへスムーズに印刷機能を追加でき、行政や司法関連の業務効率化に寄与します。
3DiVi Face Recognition SDK & API (Face SDK)
「3DiVi Face Recognition SDK & API (Face SDK)」とは、AIを活用した高性能な顔認証・分析ツールキットです。
NIST FRVT(顔認証ベンダーテスト)で上位にランクインする実力を持ち、顔認証だけでなく、年齢・性別・感情の推定も可能です。特に強力な「なりすまし防止(ライブネス検出)」機能を備え、写真や動画による偽装攻撃を未然に防ぎます。
インターネット接続不要のオフライン環境でも高速に動作し、Windows、Linux、Android、iOSに加え、IoT機器などの組み込みOSにも対応。セキュリティゲートやモバイルアプリなど、幅広い用途で安全な顔認証を実現します。
3DiVi Face Recognition SDK & API (Face SDK) | 顔認証 ソリューション 開発 キット | 海外ソフトウェアの購入ならUNIPOS(ユニポス)
miniOrange
「miniOrange」とは、企業のID管理全般を担うIAM(Identity and Access Management)ソリューションです。
開発キットではなく完成されたシステムのため、情シス部門などが手軽に導入・運用できます。顔や指紋認証を「多要素認証(MFA)」の一部として組み込み、Google WorkspaceやMicrosoft 365など数千のクラウドアプリとのシングルサインオン(SSO)を実現します。
15種類以上の認証方式に対応し、パスワードレスで利便性とセキュリティを両立させたアクセス環境を短期間で構築可能です。
まとめ
生体認証は、強固なセキュリティと利便性を両立する技術として、企業のIT基盤において欠かせない存在となりつつあります。しかし、導入効果をより高めるためには、自社の課題や運用環境に適したソフトウェアの選定が重要です。
高精度な開発キットから手軽な統合ソリューションまで、選択肢は多岐にわたります。本記事で解説した仕組みや選び方のポイント、比較した6製品の特徴を参考に、ぜひ自社にベストな生体認証システムの導入を検討してみてください。
<執筆者プロフィール>
長谷川貴之 (IT専任ライター / セキュリティコンサルタント)
システムエンジニアとしてキャリアをスタートし、大規模システムの開発や実装に従事。その後、ITコンサルタントへ転身し、企業のDX推進やシステム選定を多数支援する。デジタル化に伴うリスク対策の重要性を痛感し、情報セキュリティ分野へ専門特化。現在はセキュリティコンサルタントとして、生体認証を含む認証技術の導入やリスク管理など、企業の安全なIT環境構築に向けた情報セキュリティ支援を幅広く進めている。
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