【特集記事】アグリテックに関連する人気商品のご紹介

日本におけるアグリテックの必要性

日本の食料自給率は長期的に低下しており、2023年4月時点でのデータでは、日本の食料自給率はカロリーベースで38%とされています。自給率が今の水準で続いた場合、輸入依存の高さによるリスクの増加や、食の安全性・安定供給面での問題、農業や地域社会への影響など様々な問題に発展する可能性があります。

自給率改善のため、政府は農業政策の見直しや地域資源を活用した農業振興などを実施しており、アグリテック (農業領域でのICT技術活用) の導入推進もその流れの1つです。
ここでは、海外製品調達・コンサルテーションサービス「ユニポス」で取り扱っておりますアグリテックに関係した製品をご紹介します。

農業用途として専門化されたロボット

Amiga | AgriTech 向け 多目的 農業ロボット

スキッドステア方式 四輪駆動のマイクロトラクター。

バッテリー駆動の全電動 モジュール式ロボットのプラットフォームで、1度の充電で最大8時間の連続稼働が可能です (稼働時間は用途や積載量、地形等によって変わります)。 最大速度は 9.1 km/h (500 ft/min)、最大450kgの積載能力を持ち、 拡張モジュールと組み合わせることで 整地、植え付け、作物の世話、害虫管理、収穫梱包・出荷などあらゆる農業現場の生産システムへ適応させることができます。

主な用途
– 作物の管理と収穫 : 異なる種類の作物の管理や収穫作業を自動化
– 土壌の耕作と準備 : 土壌の耕作や準備を効率的に行い、作物の成長に適した環境を整備
– 種まきと植え付け : 種まきや植え付けのプロセスを自動化し、労力を削減
– 灌漑管理 : 水やりや灌漑システムの管理を自動化し、水資源の効率的な使用を支援
– 害虫や病気の管理 : 害虫や病気の監視と対策を自動化し、作物の健康を維持
– データ収集と分析 : 農場のさまざまなデータを収集・分析で、意思決定をサポート

FarmBot | オープンソース 自動菜園 ロボット

ニーズに合わせて自由に拡張できる100%オープンソースな自動菜園ロボット。パーツの構成が少なくより簡単に組み立てできるFarmBot Expressと、最先端の技術を搭載したFarmBot Genesisがあります。

FarmBotはオンボードカメラとコンピュータビジョンソフトウェアを搭載しており、レイズドベッド全体の土壌の高さを測定し、 種まき、土の水分量の測定、雑草の駆除などに役立てることができます。また、つる性の作物や不定形の作物をレイズドベッドの端に置き、栽培中の作物の成長方向をレイズベッドの外側に向くよう FarmBotと専用アプリで維持・調整することで、植物が成長に必要な面積を簡単に2倍、3倍にすることができます。

主な用途
– 自動農業 : 植物の種まき、水やり、除草などの自動化
– 教育 : 学校や教育機関でSTEAM教育に活用
– 家庭菜園 : 個人の庭での自動化農業サポート
– 研究用途 : 農業技術の研究と実験に利用
– 持続可能性 : 環境に優しい農業システムの促進

TerraSentia Robot | 農業分野 フィールドデータ 収集 システム

複数のカメラやLIDARセンサーを搭載した車両 (レベル2の自動運転; 一部の運転タスクを自動化するレベル) が農地内を走り回ることで 、対象の作物・植物の茎の幅、葉面積指数、葉や茎の病気といった重要な植物の特性データを収集し、高精度で測定することができるシステム。

取得したフィールドデータは、機械学習ベースの分析により定量的かつ一貫性のある情報にシームレスに変換されます。

主な用途
– フィールドデータ収集 : 農地内を自動運転で走行し、作物・植物のデータを収集
– 植物の特性データの高精度測定 : 茎の幅や葉面積指数、病状などのデータを測定
– 機械学習ベースの分析 : 取得したデータを分析し、活用しやすい情報に変換

弊社 TKS事業部のWEBサイトにもTerraSentiaを「農業フィールドデータ収集システムの導入・コンサル、サポート」の事例として掲載しています。

テガラ株式会社 TKS事業部 | テガラのターンキーシステムなら納品されたその日から、実験スタート

農業用途として専門化されたツール

Leaf Sensor | 水分レベル 樹液 流れ 測定 リーフセンサー

植物の葉の膨圧、相対水分量、水分不足ストレス (ストレス症状)、干ばつおよび 環境モニタリングを監視するための、AgriHouse社のリーフセンサーデバイス。

Leaf Sensorは、葉の水分レベル (濁り度) をリアルタイムで測定・監視することで、水やりの時期を把握し制御します。 空中栽培、水耕栽培、点滴灌漑システム等で活用頂けます。これらの技術は、NASAが後援して開発されました。

主な用途
– 葉の膨圧、相対水分量の測定 : 植物の健康状態や水分不足をリアルタイム監視
– 水分不足ストレスの監視 : 干ばつ等の環境ストレスによる植物のストレス状態を検出
– 環境モニタリング : 育成環境を監視し、最適な成長条件を維持するための情報を提供
– 灌漑管理 : 植物の水分レベルをもとに、水やりの最適なタイミングを判断・制御

Sap Flow Sensors SF-4M / SF-5M | 果実 花の葉柄 細い茎 樹液流 計測用センサー

Sap Flow Sensors SFタイプは、植物の水や養分の通路である葉柄や茎、小花柄 (直径10mm未満) の樹液の流れを測定・監視するためのセンサーです。このセンサーは、茎や葉柄の内部に浸透する方法ではなく、茎などを外側から包み込むシリンダータイプのため、植物を痛めません。

シリンダー内部には、小型のヒーターと、ヒーター上下部に温度センサーがあります。小型のヒーターに電力を供給することで、 茎の一部を周囲より2~3度ほど温め、樹液流量と蒸散速度を得るための出力信号を測定し、データ分析に役立てます。

主な用途
– 果実や花の葉柄、細い茎の樹液流計測
– 葉柄や茎の内部ではなく外側からの測定
– 樹液流量と蒸散速度のデータ収集
– 植物の成長と生理状態の監視
– 農業、生態学、環境モニタリングでの利用

MultispeQ | 植物科学 精密農業向け パラメータ測定ツール

ハンドヘルド蛍光光度計 (フルオロメーター)、 葉緑素計 (クロロフィルメーター)、ベンチトップ分光計 の3つの機能を一つの端末で実現した、植物科学や精密農業向けの分析ツール。

ラボ品質の測定を分析対象の存在するフィールドで実施することが可能で、実際のフィールド条件下で光合成の表現型を測定し、植物や藻類における生物学的および非生物学的 (biotic and abiotic) ストレスを特定します。

また専用アプリからPhotosynQネットワークへ接続することで、MultispeQでの測定値をオンラインプラットフォームに保存し、 管理・分析をして世界中のコミュニティと共有することができます。なお R や Python で高度な分析を行うためのライブラリも用意されています。

主な用途
– 農作物の光合成能力とストレスレベルのモニタリング
– 新品種や新規栽培技術の評価
– 気候変動の影響調査
– 植物の受ける光ストレスの評価
– 林業における樹木の健康診断
– 環境保全活動のための植生調査

Pix4Dfields | Pix4D社製 スイス 画像処理 ソフトウェア

UAVやドローン等による空撮画像から様々なデータを作成する写真測量法ソフトウェア Pix4D シリーズの中でもスマート農業分野においての使用想定に特化したソフトウェア。

インターネット環境のない現場でも迅速に高精度な植生指数マップ (NDVI, NDRE, VARI, TGI, SIPI2, LCI, BNDVI, GNDVI) の作成、分析やゾーニングの割り当てなどが可能です。
Pix4Dfieldsは、標準的なRGBカメラに加え、Parrot Sequoia ならびに MicaSense RedEdgeマルチスペクトルカメラで撮影した画像に対応しています。

主な機能
– オルソモザイク画像
– 植生指数マップ
– 複数の植生指数の比較・分析
– フィールド境界線の設定
– ゾーニングマップ
– 数値表層モデル(DSM)の作成
– アノテーション機能

農業用途でも活用が想定されるもの

Atlas Scientific社 環境ロボティクス分野向け各種計測機器

米国 AtlasScientific社が開発・販売している環境ロボティクス分野などでの活用を想定した各種計測機器。

水質に関連する計測 (pH / ORP / D.O. / Conductivity / Temperature) をメインに、様々な値を計測するための環境構築のための各種センサーや回路などを取り扱っております。
計測対象ごとに製品ラインアップが細かくカテゴライズされており、計測のための超小型回路 (Circuir) やプローブを中心に、キャリアボードやアクセサリと組み合わせるなどして幅広くカスタマイズしていくことが可能です。

農業分野向けの製品の一例として、土壌のpH管理や水耕栽培における温度や導電率のモニタリングなどに必要なプローブやセンサがラインアップされています。

主な用途
– 水質監視と水中センシング
– pHレベルおよび酸塩基度の計測
– 酸素濃度および溶存酸素の監視
– 電気伝導度と塩分の測定
– 液体レベルおよび流量のモニタリング

Libelium社製IoT開発プラットフォーム | 持続可能 産業 農業 環境 IoT ソリューション

安全性が高く持続可能で使いやすい、Libelium (リベリウム) 社の産業、農業、スマートシティ環境向けのIoT開発プラットフォーム。

産業、農業、スマートシティ環境における水管理に最適な「Libelium One」の他、農業分野に対してのより専門的な製品として、植物の成長、気象・大気と土壌の監視のための「Smart Agriculture Xtreme」などがあります。

主な用途
– 水管理 : 産業、農業、スマートシティ環境における水管理
– 大気モニタリング : 大気質指標を監視し、都市や産業における汚染状況を制御
– 交通量・通行量調査 : IoTゲートウェイを利用して無線通信で動作するデバイスを検出

xArm | 最大7自由度 産業用 ロボットアーム

最大7自由度の産業用ロボットアーム。動作範囲700mm、0.1mm精度の再現性を持ったxArmは費用対効果が高く、工場などでの運用はもちろん、ロボット工学研究、メーカーでのプロトタイピング、写真や映像の撮影等、多目的な用途での活躍が期待できます。

専用アプリケーション UFACTORY Studioによりコーディングなどの必要なく簡単に動作させることができるほか、Python, ROS, C++に対応した xArm SDKも提供されています。

農業分野での活用の一例として、農作物の収穫ロボットのアーム部分としての利用が見込まれています。以下の記事では九州工業大学情報工学部 林英治研究室によるトマトロボット競技会でのxArm利用についてご紹介しております。

主な用途
– マシンテンディング (製造業における自動化プロセスの一つ)
– ビンピッキング (バラ積みピッキング)
– モバイルプラットフォームへの搭載
– ラボラトリーオートメーション
– ロボット研究

まとめ

土壌や気候などの課題を解決するためには、経験者の知見とアグリテックの掛け合わせが重要になります。企業や若年層が農業に参入し生産性を向上させるには、勘や経験とはまた違ったアプローチの併用が重要であり、ロボティクスやビッグデータ、センシング技術にAIといった最新テクノロジーがその助けとなると期待されます。

ユニポスでは、世界中から最新のアグリテック関連製品を調達し、お客様のビジネスや研究における成功をサポートいたします。
ユニポスWEBサイトに掲載のない商品も喜んでお調べしますので、お気軽にご相談ください。